モバイルコマースとは?概要やメリット、課題などを解説

モバイルコマースとは?概要やメリット、課題などを解説

近年、スマートフォン利用者が年代を問わず増え続ける一方です。EC事業者としては、これに対応することが課題となります。

すぐアクセスでき、簡単な操作でショッピングを完結させられる環境を提供できれば、時間や場所にとらわれずに消費者の意欲をかき立てることができるでしょう。売上げアップにつながるのは言うまでもなく。

本記事ではモバイルコマースについて、メリットや現状、課題などを解説していきます。

モバイルコマースとは?

「モバイルコマース」とは、スマホやタブレットなどのモバイル端末を用いた電子商取引のこと。商品の購入はもちろん、各種サービスの予約や電子マネーによる決済なども含まれます。

Eコマースとは何が違う?

モバイルコマースは、電子商取引全般を指すEコマースの一部に含まれるといえます。Eコマースのうち、モバイル端末を使った取引だと考えてOKです。

国内モバイルコマースの利用状況

では実際、モバイルコマースはどのくらい利用されているのか?これに関して、次のような調査結果が出ています。

モバイルコマースを利用したことのある人の割合

現在、日本を含む世界中でモバイルコマースを利用する人の割合が大きく増加しています。

PayPalの調査によると、オンラインショッピングでモバイル端末を使用したことのある人の割合は以下のとおり。

1位:インド(88%)

2位:ブラジル・メキシコ(77%)

3位:日本・イギリス・オーストラリア(73%)

4位:イタリア(72%)

5位:スペイン(69%)

6位:アメリカ(65%)

日本は3位と、かなりの上位に位置しています。検索だけでなく、ECサイトアプリやSNSの普及も背景にあります。

モバイルコマースでの平均支出額

同じくPaypalの調査によると、日本人のモバイルコマースでの平均支出は8,384円/月となっています。

また、全体の70%が家でリラックスしている時に利用すると答えており、スマホそのものが日本人の生活に深く根付いていることが分かります。

海外ストアの利用状況

日本人のモバイルコマース利用率は高いものの、それは国内サイトでの買い物に限られます。海外サイトも使う消費者はわずか20%に止まるのが現状です。

海外サイトには国内で手に入らない商品を購入できるという魅力がある反面、言語や信頼性の問題から利用が伸びないと考えられます。

モバイルコマースのメリット

モバイルコマースの現状を把握したところで、次はモバイルコマースのメリットを見ていきましょう。

いつでもどこでも買い物ができる

モバイル端末ということで、Wi-Fiや4G・5G回線があれば、いつでもどこでも気軽にショッピングを楽しめるのが最大のメリットです。

海外のサイトにも簡単にアクセスでき、自分の好みをより追求できるのも魅力といえます。

支払い方法が複数あり、簡単

支払い方法が複数あり、簡単なのもメリットです。PayPalやクレジットカード、銀行振込、Google Payなどの電子決済、キャリア決算などから好きな決済方法を選択できます。

あらかじめ情報を登録しておけば、買い物のたびに情報入力をする手間を省け、よりスムーズに支払いができるのも便利なポイントです。

顧客の流入経路を拡大できる

上記2つは顧客にとってのメリットでした。事業者にとってのメリットとしては、顧客の流入経路を拡大できる点が大きいでしょう。

販売チャネルにモバイルコマースを組み込むと顧客の利便性が高まり、アクセスや売上の増加を図ることができます。

モバイルコマースの課題

出典:PayPal/海外販売に役立てよう!越境ECにおける海外モバイルコマース事情

市場を拡大させているモバイルコマースですが、まだまだ課題も残っているのが現状です。以下、具体的に見ていきましょう。

フォーム入力などに手間がかかる

1つめの課題はフォーム入力などに手間がかかる点。はじめて利用するサイトに情報を入れていくのは、ネットショッピングに慣れた人でも面倒ですよね。

サイトによっては入力事項が多かったり、名字と名前の入力欄が分割されていたりと、消費者にとって不便であることもしばしば。

実際、フォーム入力の段階で離脱されるケースは少なくありません。フォームの種類にもよりますが、平均で50%近くもあります(*)。

この数字の改善は必須でしょう。顧客に手間をかけさせないサイト設計が求められているということです。

*:activecore marketing cloud/コラム 第3回 入力フォームからの離脱率

セキュリティの信頼性

2つめはセキュリティの信頼性です。個人情報やクレジットカード情報などをEC事業者へ渡すことになるため、利用者はセキュリティに特に気を使います。

例えばクレジットカードの場合、利用者の51.2%が情報の扱いに不安を感じているというデータも(*1)。

情報流出や不正利用を防ぐために、セキュリティに強い企業と提携したり、新しい防御システムを導入したりして、万全の体制を整えておきましょう。

ただし、画像認証やSMS認証によりユーザーの半数が離脱するという調査結果もあるため、導入する方式はよく検討しなければなりません(*2)。

*1:日本クレジット協会/平成30年度クレジットに関する 消費者向け調査結果報告書

*2:かっこ/52%がユーザー認証のログイン時に離脱 ネット通販・Webサービスの実態調査を実施

ページのロードが遅い

ページのロードが遅い点も課題です。アクセスや遷移に時間がかかると、消費者はストレスを感じて離脱しやすくなります。

主な原因は、画像の読み込み時にPC用サイズで作ったものをそのまま読み込んでしまうこと。モバイル端末への最適化がなされていないというわけですね。

サイト制作や商品登録の際には、必ずモバイル端末でもテストを重ねましょう。

日本ではモバイル対応のサイトが少ない

出典:同上

上図のとおり、モバイルに最適化されたサイトでショッピングをしたい買い手の割合は、日本においては45%と世界の中でも高い水準なのに対し、モバイルに最適化されたサイトを提供している売り手の割合は49%と、11カ国中最も低い数字となっています。

日本ではモバイル対応のサイトが少なく、事業者は消費者のニーズに応えきれていないのです。

サイトのモバイル対応はもちろん、アプリの導入や決済手段の拡充なども市場から求められています。

モバイルコマースの今後

コロナ禍による巣ごもり消費も相まって、家のソファでくつろぎながらスマホで買い物といった様式は今後も広まるでしょう。高速&大容量の5Gが本格的に普及すれば、モバイルコマースの利便性はさらにアップするとみられます。

また、モバイル端末が日常生活から切り離せないほど普及している今、モバイルコマースも日常の一部に位置づけてもらうための施策が事業者に求められています。前述した課題の解消はもちろん、実店舗やイベント、SNSなどの他チャネルと連携を取ることも重要です。

まとめ

今回はモバイルコマースについて、その概要や現状、メリット、課題などを解説してきました。

手軽にできるとあって、モバイルコマースの利用は年代を問わずスタンダードになりつつあります。が、環境の最適化が進んでいないという大きな課題も。

今ECサイトを運営している事業者は、モバイル端末への対応度をあらためて見直してみてはいかがでしょうか。

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