ECサイトの決済手段にはさまざまな種類があり、ユーザーの利便性を考えると、なるべく多くに対応しておきたいところ。とはいえ、そのためにやるべきことは膨大で、ほとんどの場合自社だけでは業務が追いつきません。
そこで重宝するのが決済代行。決済機関との契約やシステムの開発、そして運用後の事務処理などを代わりにやってくれます。
では、決済代行の手数料はどのくらいなのでしょうか。利用を検討している企業の方は気になるはずです。
本記事ではこの点について、一般的な内訳や相場のほか、料金の考え方などを解説していきます。
決済代行の手数料内訳と相場
というわけで、まずは決済代行の手数料内訳と相場を見ていきましょう。
*あくまで目安です。実際の内訳や金額については、業者に見積もりをとってください
初期費用
初期費用は、決済機関との手続きやECサイトへのシステム実装といった、運用の準備にかかる費用です。
相場:5万円前後。無料の業者もあり
月額料
毎月固定の月額料は、決済システム利用や顧客情報管理、セキュリティ維持などにかかる費用です。
相場:5,000円ほど。無料の業者もあり
決済手数料
決済手数料は、代行会社や決済機関へ支払う料金で、決済が行われるたびに発生します。
相場:決済金額の1~10%
決済方法や事業規模、商材などによってパーセンテージが変わる点に注意が必要です。特にクレジットカードの決済手数料は差が大きいため、詳細を後述します。
トランザクション費
トランザクションとは、取り引きにまつわる一連のシステム処理をひとまとめにした単位のこと。売上処理1件、キャンセル処理1件が起きた場合、それぞれをトランザクション1件ずつにカウントします。
要は、情報処理にかかる費用というわけですね。
相場:数円~数十円ほど。無料の業者もあり
オプション
基本の料金体系のほかにも、さまざまなオプションが用意されています。例えば……
・早期入金
・分割、リボルビング
・定額課金
・セキュリティ追加導入
・チャージバック保証
などがあります。
相場:1,000~3,000円または決済金額の数%
オプションは便利ですが、付けすぎると費用が高くつくので、本当に必要かをよく検討しましょう。
クレジットカードの決済手数料
クレジットカードの決済手数料には、
①カードのブランド使用料
②カード発行会社への支払い
③加盟店契約会社への支払い
④決済代行会社への支払い
の4つが含まれます。
そして前述のように、パーセンテージは業種や事業規模などによって異なるのです。簡単にいうと、支払いの滞りが起こりにくいほど低率になります。一例を見てみましょう。
・公共料金:1%前後
・スーパーや大手小売:1~2%
・ECサイト(物販):2~6%
・ECサイト(サービス/会費/無形商材):10%前後
一般的な日常生活に欠かせない業種ほど低いのが分かりますね。サービス業、特にエステなどは高めに設定されているか、そもそも利用不可の場合も。リスクの大きさが、手数料に反映されているわけです。
ECサイトに関しては、商材や事業規模によって差が大きくなっています。とはいえ、基本的には5%以内に収まることが多いようです。また、クレジットカードも、カードブランド毎に、決済手数料があります。これは、カードブランド会社から決済代行会社が仕入れているため、仕入れ価格がカードブランド毎に異なるために発生します。
ちなみに、クレジットカードの決済手数料は店舗が負担すると、カード会社の規約に定められています。消費者に負担させた場合は加盟店から除外されますし、実際そのようなケースは少なからず起きているようです。気をつけましょう。
クレジットカード以外では、キャリア決済や楽天Pay、LinePayなど決済手段毎に決済手数料率が異なりますので、決済代行会社に確認をしましょう。
また、一般的には、決済代行会社が取り扱っていない決済としてAmazonPayやPaypalなどの独自で展開している決済手段もあります。独自で展開している決済手段は個別に契約をしなければいけません。
決済代行の手数料の考え方~安さだけで判断するのはNG~
決済代行の手数料を抑えるのは、できるに越したことはありません。より自社の利益を確保できるわけですから、こう考えるのは当然です。
しかし、だからといって安さ第一で選ぶのはおすすめできません。優先的に注目すべきは以下のポイントです。
業者の実績
1つめは業者の実績です。
お金のやり取りをする以上、事業基盤がしっかりしていて、対応の丁寧な信頼できる業者に任せるべきです。例えば、長年事業を継続していたり、大手企業に導入されていたりすると信頼度がアップします。
対応可能な決済手段
2つめは、対応可能な決済手段です。
利用率の高いクレジットカードはもちろん導入しておきたいですし、キャリア決済や楽天Pay、コンビニ決済、後払いなどもあると、ユーザーの利便性がアップします。加えて、クレジットカードのブランドも確認しておきましょう。
自社はどの決済手段を導入するか決めた上で、それらを網羅した業者を選んでください。
セキュリティ対策
3つめはセキュリティ対策です。
決済代行会社には、顧客の個人情報を渡すことになります。そこで情報漏えいや不正利用が起きると、自社は信頼を失ってしまうでしょう。
何より顧客を守るためにも、万全なセキュリティは不可欠です。前述の実績の話とも関連しますが、「PCI DSS」や「プライバシーマーク」などの認証を業者が取得しているかどうか、そして3Dセキュアやトークンといった技術を持っているかどうかもチェックしてください。
決済システムの使いやすさ
4つめは決済システムの使いやすさです。
操作方法が分かりにくかったりページが重かったりすると、カゴ落ち率が高まります。重大な機会損失につながるので、比較検討時にデモ版を試してみるのが良いでしょう。
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これらのポイントを満たしているかを先に確認し、その上で手数料とのバランスを見極めてください。また、複数社に見積もりをお願いし、それぞれを比較検討するのも大切です。
まとめ
今回は決済代行の手数料について、一般的な内訳や相場のほか、料金の考え方などを解説してきました。
それなりの請求は発生しますが、業務効率やセキュリティ、顧客にとっての利便性などを考えると代行利用のメリットは大きいです。各社の手数料を把握し、それが自社にとって適切か、本記事を参考に見極めてください。
*決済代行に関しては、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧いただければと思います
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