ネット環境や物流網の発達により、越境ECの利用が世界中で広まっています。
特に市場規模の大きい国のひとつがアメリカで、経済産業省の「電子商取引に関する市場調査」によると、2019年の流通総額は1兆5,570億円(前年比11.8%増)、うち日本からの購入が9,034億円を占めました。
日本製品は売れやすいというわけです。では、具体的にどんな商品が売れ筋なのか?
この点について、本記事では人気の越境ECサイトや出店の注意点などとともに解説していきます。
アメリカで売れる日本の物│売れ筋を紹介
ではさっそく、アメリカで売れる日本の物を紹介します。
*出典:BEENOS「越境EC世界ヒットランキング2020」
1位:おもちゃ、ゲーム
1位はおもちゃやゲーム。
アニメ系はもちろん、特撮系のグッズも人気です。ゲームは最新機種やタイトルのほか、ファミコンのようなレトロゲーを好む人もいるとのこと。
また、特定コンテンツの熱心なファンも多く、購入額が高くなりやすいジャンルです。
2位:ファッション
2位はファッション。
生活に欠かせない物であり、アメリカでは日本の製品もよく売れています。ただし、コロナ禍の影響で高級ブランド商品の売上は下がっている点は注意が必要です。
3位:音楽
3位は音楽。
J-POPやアニソンのほか、アンビエントミュージックなどもファンの間で人気です。
音楽関連でいえば、日本メーカーの楽器もよく売れています。
4位:自動車、オートバイ
4位は自動車、オートバイ。
本体というよりはパーツでしょう。少しマニアックなカスタムパーツは本国で手に入りにくいため、安定して売れるジャンルです。
5位:コミック、アニメグッズ
5位はコミックやアニメグッズ。
1位と関連して、日本初のコンテンツとして人気です。コミックやアニメで日本語を覚えたという方も多いですね。
アメリカで売れる日本の物│eBayのランキングもチェック!
出典:イーベイ・ジャパン株式会社/イーベイ・ジャパン、2020 年第 3 四半期の越境 EC トレンドを公開
アメリカの大手オークションサイト・eBayの日本支社が2020年11月に発表した資料によると、売れ筋は以下の商品とのこと。
1位:ポケモンカード
2位:マキタ インパクトドライバ
3位:ダイワ 電動リール
4位:ローランド サンプラー
5位:カシオ G-SHOCK
ゲーム・キャラクター商品の中でも、ポケモンは特に強いですね。アメリカはDIYの本場ということで、品質の良いマキタ製品も人気です。
4位のサンプラーに関しては、馴染みの薄い方もいらっしゃるのでは。サンプラーとは、短い音源を録音(サンプリング)し、ボタンを押して再生する音楽機器のこと。作曲などの現場ではメジャーな存在です。コロナ禍の中、自宅で音楽を楽しむのにもピッタリですね。
3位と5位については、ソーシャルディスタンスを保ちながらできるアウトドアアクティビティのブームが背景にあるとのこと。関連して、ゴルフ用品も売上を伸ばしています。
アメリカ越境ECで人気のサイト
次に、アメリカ越境ECで人気のサイトを紹介します。下記サイトでシェアの大半を占めているので、利用する・しないに関わらずチェックしておきましょう。
Amazon
アメリカのEC市場で圧倒的なシェアを誇る「Amazon」。2019年には37.3%を占めました*。その圧倒的な集客力から、マーケットプレイスは越境ECでも有力な出品先です。
商品の梱包や発送をAmazonが代行してくれるFBAというサービスもあり、自社の負担を抑えられるのも魅力。
ただし、販売手数料の高さがネックになりやす点に注意しましょう。
eBay
Amazonにシェアで水を空けられているものの、同国で大きなシェアを持つのが「eBay」。基本的にはオークションサイトですが、固定価格での販売も可能です。
eBayのメリットは、越境EC事業のサポートが充実している点。同社の日本法人イーベイ・ジャパン自身が、ビジネスをその方向性にシフトしています。
ただし、最初は大口出品ができません。販売実績を重ねて枠を拡張しなければならず、成果が目に見えるまでに時間を要します。
アメリカで日本の物を売る際の注意点
ここでは、アメリカで日本の物を売る際の注意点を解説します。
<h3>アメリカの法制度を把握する</h3>
1つめは、アメリカの法制度を把握すること。
同国は連邦制をとっているため、国が定める連邦法のほかに州法も定められています。これがアメリカでのビジネスにおける難解な点です。
真っ先に押さえるべきは、連邦取引委員会(FTC)が定めるガイドラインです。FTCはアメリカのEC市場を統治している機関で、ガイドラインといえど違反すると指導の入る可能性があります。
出典:JETRO/米国 E-コマースビジネスにおける法的留意点
まずは以上のポイントを遵守しましょう。詳細はJETRO発表の資料を元に、事業者ごとに確認をとってください。
法に関しては、「最も厳しい規制を定めるカリフォルニア州を基準にする」「メインで事業を展開する2~3州を基準にする」等の対策をJETROが推奨しています。
いずれにせよ、相手国の定めるルールに則ったビジネスを行いましょう。
関税の仕組みを理解する
次は、関税の仕組みを理解すること。
関税がいくらかかるか把握していないと、顧客とのトラブルになったり、追徴課税を言い渡されたりする可能性があります。
日本からアメリカへ発送する場合、NTR税率というのが適用されます。品目や価格、量によって税率が異なるため、アメリカ国際貿易委員会(USITC)の公式サイトでチェックしましょう。
また、一部を除く製品は、2,500ドル以未満だと略式輸入として扱われ、手続きが簡易化されます(詳しくはJETROのサイトを参照のこと)。
まとめ
今回はアメリカで売れる日本の物について、売れ筋や人気のECサイト、そして販売の注意点などを解説してきました。
日本では馴染みが薄いものの、越境ECの利用者は世界中でどんどん増加しています。日本のコンテンツやメイドインジャパン製品はアメリカでも人気なので、ビジネスチャンスは今後も広がっていくでしょう。
本記事が参考になれば幸いです。