近年急拡大を遂げているサブスクリプション。矢野経済研究所によると、2020年度の国内サブスク市場は7,873億円、23年度には1兆円規模にまでなると予測されています。
この波はECサイトにも来ていて、サブスクを導入する事業者は年々増加中です。
また、消費者に継続利用を促せるといったメリットがあり、ECサイトの新しい形態として注目されています。
本記事では、ECサイト×サブスクのメリット・デメリットのほか、具体事例や取り組みのポイントを紹介していきます。
【ECサイト×サブスク】サブスクリプションECとは?
まず、サブスクリプションについて確認しておきましょう。
サブスクリプションとは、一定額の使用料を支払うことで、商品やサービスを一定期間利用できるビジネスモデルをいいます。例えば、映画ならNetflixやHulu、音楽ならApple MusicやSpotifyなどが有名ですね。
近年、このサブスクリプションをECに導入する動きが大きくなってきています。サブスクリプションECの場合、一定期間の使用料を支払った消費者に対し、ネットショップが自身でセレクトした商品を提供する仕組みとなります。
<h3>定期購入とは何が違う?</h3>
従来の定期購入では、頻繁に購入する商品等を一定の間隔で利用者に届けるシステムとなっています。
この場合、利用者が支払うのは商品そのものの代金であり、サブスクリプションでいう利用料とは少し異なるのです。また、定期購入だと「商品を所有できる」のに対し、サブスクリプションだと「商品の利用権を得られる」という違いもあります。
サブスクリプションECサイトのメリット
じわじわと台頭してきたサブスクリプション。次は、このサブスクリプションECのメリットを見ていきましょう。
継続利用による安定収益が見込める
1つめは、利用者の継続利用により安定した収益が見込めること。
仕組み上、サブスクは単発購入ではなくリピートが前提となります。これにより、繁忙期と閑散期の差が開きにくくなるのです。また、収益予測も立てやすくなり、サービスへの投資を計画的に行えるようになります。
新規利用のハードルを下げられる
2つめは、新規利用のハードルを下げられること。
「初回から3ヶ月間は半額で利用可能」「サブスクなら割安になる」といった柔軟な料金設定ができるからです。
事業者はLTVを高められ、消費者は商品やサービスをリーズナブルに利用でき、双方にとって大きなメリットがあるといえます。
顧客データが蓄積されやすい
3つめは、顧客データが蓄積されやすいこと。
消費者の数や利用期間が増えるにしたがい、彼らの嗜好やニーズ等のデータをより高精度に保有できます。このデータによって、事業者はサービスの改善や新商品の開発、そして新規利用者の獲得につなげられるのです。
サブスクリプションECのデメリット
サブスクリプションECには、以下のようなデメリットも存在します。
顧客数が増えるまで売上が安定しにくい
安定した売上を保てる一方、逆に言えば、一定数の利用者を獲得しない限り売上が安定しづらいというデメリットがあります。
事業者は、初期段階で広告宣伝に力を入れ、かつ新規利用者が参入しやすいようなキャンペーンを打つなど、施作を投じて解決を図っていきましょう。
同じ商品やサービスを提供するだけだと飽きられる
利用者にとってサブスクリプションECは、新しい商品やサービスに出会える点がメリットといえます。このため、いつまでも同じ商品やサービスを提供するだけでは飽きられ、利用者離れに繋がるおそれがあるのです。
収集した顧客データを元に、いつまでも継続したいと思う商品やサービスを提供し続け、利用者満足度を高めることが解決に繋がります。
サブスクリプションECの事例
では次に、実際に運営されているサブスクリプションECの事例を見ていきましょう。
airCloset
「airCliset」は、プロのスタイリストがコーディネートした洋服が借り放題の月額制ファッションレンタルサービスのサイトです。
自分の好みや着ていくシーン、体型などを事前に登録することで、登録内容に沿ってコーディネート洋服が自宅に届くという仕組みになります。
「仕事や子育てで忙しい。でもおしゃれをしたい」という女性の心を掴み、2015年のサービス開始から2018年の3年間で収益成長率が6,048.33%と驚異の右肩上がりを遂げています。
BLOOM BOX
「BLOOM BOX」は、利用者個人のためにビューティーアドバイザーがセレクトしたコスメや美容商品を、Boxに詰めて届けてくれるサービスです。
事前に登録した悩みや要望に沿うような商品が手に入り、さらにポイントも貯まるようになっています。このポイントはグループ会社が運営する化粧品通販サイトで使用可能。
新しい商品をいろいろ試したい方、普段出会わない商品に出会いたい方などに人気です。
【ECサイト×サブスク】成功のポイント
ECサイト×サブスクの成功には、利用者との良好な関係を長期にわたって築き、利用継続を維持するのがポイントといえます。
そのためには、事業者側が商品を選べるという特性を生かして、常にワクワクするような商品提供を行うことや、利用者が気に入ったものはすぐ購入できるようにするなど、利用者に寄り添ったサービスを展開していくことが必要です。
【ECサイト×サブスク】おすすめのカート3選
最後に、サブスクリプションECを始める上で大切な、ショッピングカートシステムについて見ていきましょう。ここでは、おすすめのサービスを3つ紹介します。
リピート PLUS
「リピートPLUS」は、12年連続でベストベンチャーに選ばれたW2ソリューション株式会社が提供するカートシステムです。
平均売上成長率が354%、業務効率化コストが60%削減という、売上を上げて、コストを抑えるシステムとして、支持されています。
そのほかにも、メールや電話などの注文を一元管理できたり、ビジネスのステージに合わせて後からでも機能拡張ができたりと、機能数の多さと、定期に特化した機能が充実しています。
同社はマーケティングやブランディング支援も手掛けており、事業のトータルサポートも可能です。
ECオリジン
「ECオリジン」は、大手GMOグループであるGMOシステムコンサルティング株式会社が提供しています。
商品管理や注文、プロモーション、会員管理機能のほか、契約管理や減価償却管理など、最初から多くの機能を備えているのが特徴。自社が目指すシステムを最大限に構築できるでしょう。
料金は80万円や300万円などプランによって異なります。自社の現状を鑑みながら、まずは相談してみるのが良いでしょう。
サブスクストア
「サブスクストア」は、単品リピート通販市場シェアNo.1の実績を持つカートシステム「たまごリピートNext」から生まれたシステムです。運用会社のテモナ株式会社は2019年に東証一部上場と、今急成長を遂げています。
サブスクストアの魅力は、わかりやすいプラン設定です。スタートアップでサブスクビジネスを始める方向けのスタンダードプラン(月額49,800円)、サブスクビジネスをさらに拡大したい方向けのプレミアムプラン(月額79,800円)と分かれており、事業規模に応じた柔軟な使い分けが可能。
また、豊富なノウハウに基づき運営コンサルティングもしてくれるため、事業を軌道に乗せるためのパートナーとしても心強いでしょう。
まとめ
今回は、サブスクリプションECに関するメリットやデメリット、具体事例などを見てきました。
EC需要が高まる中、サブスクというビジネスモデルは収益の安定化に繋がり、また蓄積したデータにより利用者の満足度を高められる点で、より重要な位置付けになってきています。サブスク×ECをサポートするカートシステムも充実しているため、自社に合うものは何かを見極める必要がありますね。
またカート選定に加えて、いかに利用者に寄り添ったサービス・提案をできるかが今後の成長の鍵になるでしょう。