ここ何年かで、ネットショップの開店自体は容易かつ気軽にできるようになりました。構築プラットフォームや管理システムの利便性が年々高まっていること、手数料無料のサービスまで出てきていることなどが背景にあります。
その分参入する事業者が増えているのですが、一方で「運営のための人手が足りない」「売り上げがイマイチ伸びない」といった悩みを抱える方も同じく増えています。
これらを解決する手段の一つが、ネットショップ運営代行の活用です。その道のプロが、目的に合った施策を的確に遂行してくれるでしょう。
本記事では代行業者に依頼できる業務やメリット・デメリット、料金体系、業者の選定ポイント、おすすめ業者などを解説していきます。
ネットショップ・EC運営代行の業務内容
まずは運営代行が担う業務の例を見ていきましょう。ただし、業者によっては対応可能な範囲が異なる点に注意してください。
サイト制作
1つめはサイト制作。この際にモール型か自社型かを選ぶことになります。
【モール型】
楽天やAmazonといったECモール内にサイトを作ります。モールの集客力を活用できる一方で、競争も激しく、モール内の広告プランやポイントキャンペーンなどに取組む必要があります。また、プロモーションデザインやキャンペーンに制限が生まれやすく、ブランド重視の場合には選びにくい点も。
【自社型】
モールを利用せず、自社独自のサイトを作ります。「BASE」「Shopify」「Makeshop」「Color me shop」といった安価に利用できるサービスや、ブランディングやセキュリティがしっかりした「w2Commerce」のような本格的なASPカートを使うことが多いです。自社型の場合、集客を自社でしなければならない反面、デザインやキャンペーンの自由度は高くなります。
【自社/モール併用型】
一定の売上規模を超える企業の6割が、モールと自社ECを併用しているという調査結果があります。自社ECでは先行販売をしたり、顧客のロイヤリティプログラムを行い顧客体験の向上を狙ったりする一方で、モールには売上獲得のために出店するという体制をとっているのです。この場合も運営代行に、自社サイトのみを任せる、モールのみ任せる、などさまざまな依頼の仕方があります。
いずれにするか、自社の目的に合わせて慎重に決めましょう。また、新規制作はもちろん、既存サイトのリニューアルやキャンペーン用ページの追加などもサイト制作業務に含まれます。
商品登録
商品をサイト上へ出品していきます。採寸や計量、ラベル管理のほか、商品の撮影やコピー制作など手間のかかる作業が多く、顧客が買うかどうかを判断するポイントにもなる重要な仕事です。
取り扱う品数が多くなるほど、外注の恩恵が大きくなります。
集客
キャンペーンの企画や、それに合った媒体での情報発信などの施策を代行してもらえます。
集客に苦戦している企業にとって、ネットショップ運営のプロの知見は非常に心強いでしょう。ほかのショップとの差別化にもつながります。
受発注処理・在庫管理
即日発送の大手ネットショップに慣れている昨今のユーザーのことを考えると、顧客からの注文を適切に処理し、なるべく在庫を枯らさず迅速に発送できる体制は必ず構築しておきたいところ。ここも外注の恩恵が大きい分野ですね。
また、自社運営に比べセキュリティ面での安心も手に入ります。
物流
商品の入荷から発送までの一連の業務を指します。業者によっては送料を抑えられるメリットも。
性質上、受発注や在庫管理と併せて依頼するケースが多いですね。
カスタマーサポート
問い合わせやクレームへの対応も代行可能です。商品の質問など答えられない場合には、事業者にエスカレーションをきちんとしてくれます。
また、対応情報をフィードバックしてもらい、商品・サービスのブラッシュアップにつなげることも可能です。
返品・入金管理
サイトの運営自体を全て任せる場合には、返品や入金の管理も併せてお願いする事が多いです。この場合、特商法は、ネットショップ運営代行会社基準となります。
性質上、ブランドビジネスに多い形態で、EC事業をまるっと、代行会社に任せるということも良く見受けられます。
ネットショップ・EC運営代行のメリット
上記のような業務を代行してもらうメリットとしては、主に以下の2点が挙げられます。
✓ 専門的な知見を導入できる
✓ 人員不足を解消できる
ネットショップ運営にはさまざまな工程があり、それぞれにノウハウが求められます。
そのノウハウがなかったり、業務を担当する人員が足りなかったりする場合、代行業者の活用を検討しましょう。プロがスピーディかつ的確に仕事を進めてくれますから、生産性向上や自社社員の負担軽減につながります。
ネットショップ・EC運営代行のデメリット
一方で、運営のスキルやノウハウを社内に蓄積できないというデメリットも付いてきます。
これにより、業務を内製化しにくくなるのです。業者との契約が終了したら運営がグダグダになることも。外注する業務範囲が広く、契約期間が長くなるほど、この問題は大きくなります。
よって、自社でやる部分と業者に任せる部分の見極めが重要です。目的達成のためには、どの仕事を外注するのが最良なのかを明確にしましょう。
ほかには、内製化支援のためのコンサルティングを行っている会社を選ぶのも良いですね。
ネットショップ・EC運営代行の料金体系と相場
ネットショップ運営代行の料金体系は、固定報酬型・成果報酬型・複合型の3つに分かれます。それぞれの内容と大まかな相場を解説しますね。
固定報酬型
固定報酬型は、月ごとに定額の料金かかる方式です。
予算管理をしやすい反面、売上が振るわなくとも出費が必要になります。
【相場】5〜10万円/月
成果報酬型
成果報酬型は、売上のうち一定割合を支払う方式です。
成果が出ないかぎり費用は発生しないため失敗のリスクが低いものの、運営が軌道に乗ってからはかえって高額になる可能性も。
【相場】売上の5〜10%
複合型
複合型は、固定報酬型+成果報酬型という方式です。
両方の費用が発生するため報酬の固定額や比率は低めですが、こちらも運営が順調になると割高になり得ます。
基本的には初期費用もかかる
上記のどの料金体系をとっている会社でも、基本的にはプラスで初期費用がかかります(無料のところもあります)。
また、商品登録数の制限を超えた場合に追加料金が発生したり、時間外対応の料金が必要になったりする場合もあるので、料金体系は必ず細かく確認してください。
料金体系とお付き合いの仕方の考え方
このように、ネットショップ運営代行会社は様々な料金設定を持っています。しかし、取扱い商材により粗利や市場の競争環境も変わってきますので、ネットショップ運営代行会社の得意なやり方や料金体系を話し合うという姿勢も重要です。
また規模が一定になった際には、通常は内製化をしていく、または代行会社と伴走してさらに売上を拡大するという選択がでてきます。
売上が伸びない、運営を効率化したいという課題が明確な場合には、一緒に伴走してくれる代行会社を選び、自社でできる業務・やるべき業務については、その課題が解決したら内製化していくという考え方が良いでしょう。
自社に合ったネットショップ・EC運営代行を選ぶポイント
ここからは、自社に合った代行業者の選定ポイントを紹介していきます。
業者の実績は確かか
やはり実績のある業者を選ぶのは大切です。
・どんな規模での実績があるか
・どんな業界での実績があるか
・特異な領域はどこか
などを把握しましょう。成果を出した過去があるほど、自社でも成功する確率が上がります。各業者にしても、モールが得意、自社サイトが得意、集客が得意、立上げが得意など、それぞれの特徴を見極めなければなりません。
ただし、実績や得意領域だけでなく、肝心の自社への提案も同じくらい重視しましょう。
事前のヒアリングはしっかりしてくれるか
次は、事前のヒアリングをしっかりとしてくれるかどうか。
これが不十分だと課題や目標を整理できず、運営の方針など立てようがありません。望む成果を出すのは難しくなります。
きちんとした業者ほど、些細なことでも掘り下げて聞いてきます。事業とは一見関係なさそうな質問であっても、そこから何かアイデアが出るかもしれませんし、面談の際には答えるのが大切です。
良さそうと感じた業者とは、さらに深い話をしていくことになります。その場合、売上・顧客単価・強み・特徴などを話すことに億劫になることもあると思います。ヒアリングの際には秘密保持契約を結び、安心して情報交換できるようにするのも一つのコツです。
自社の狙いと業者の強みが一致しているか
3つめは、自社の狙いと業者の強みが一致しているかどうか。
集客を強化したいのであれば、当然、集客に強い業者を選ぶべきですよね。同時に、どの層に対して、どんな方法での集客に強いのかまで把握しましょう。
運用を効率化することが重要であれば、運営管理(フルフィルメント)をアウトソーシングしていくことが重要です。その場合は、サイト制作・受注管理・コールセンター・出荷返品入金管理業務など幅広い業務をお互いに星取表を作成し、業務範囲を定めて最大の効果を狙いましょう。
また、一定の規模になると、集客の拡大と運用の効率化の両方が課題になります。このような場合には、集客の領域と運用領域で選定するということも必要です。
ですので、自社の事業規模と目的から、どの業務を依頼するかを明確にするのが大切になるわけです。
おすすめのネットショップ運営代行業者
最後に、おすすめのネットショップ運営代行業者をご紹介します。比較検討の参考にしてみてください。
株式会社いつも
「株式会社いつも」は国内トップクラスの実績を持つネットショップ運営代行・コンサル会社で、延べ9,500以上の企業をサポートしています。クライアントは業種業界問わず、大企業から中小事業者までさまざま。事業規模にかかわらず相談できます。
同社の対応範囲は幅広く、サイト作成やマーケティング、物流、人材育成など、EC関連の業務を総合的にサポート可能です。もちろん一部の業務だけを代行してもらうこともできますから、興味のある方は気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
RUD(ECコンサルティング株式会社提供)
ECコンサルティング株式会社が提供する「RUD」は、楽天市場に特化した運営代行サービスです。
同社は2015年創業とまだ歴史が浅いものの、メンバーが楽天ECコンサルタントの元管理職たちですので、運営に関する知見はピカイチ。楽天を知り尽くした専門家が、運営業務全般を代行してくれます。
楽天市場にまつわる課題を抱えているのなら、ぜひ相談してみてください。
Brandex(ブランデックス株式会社)
「ブランデックス株式会社」は、ECサイトの構築から運用支援までを手掛けている会社です。「Brandex」は「Brand Excel & Extended」の略で、「より優れたブランドを、より拡充したブランドを」目指すというコンセプト。
事業者様の大切なブランドの世界観を研ぎ澄まし、広げ、親しまれ、ブランド価値を向上させる事をミッションとしています。
(同社ホームページから)
同社は15年以上の運営代行経験を有し、大小さまざまなECサイトの支援をしています。自社サイトからモールまで、幅広く、ブランドをキーワードに運営業務全般を代行してくれます。また、事業者様の内部で運営ができるようにする内製化支援にも力をいれていますので、ぜひ相談してみてください。
まとめ
今回はネットショップ運営代行について、業務内容やメリット・デメリット、料金体系、業者選定のポイントなどを解説してきました。
ノウハウや人員が不足している場合、代行業者の活用を積極的に検討してみてください。餅は餅屋というように、プロの力がスピーディな課題解決へつながります。
ぜひ本記事の内容をもとに、業者の比較を進めていただければと思います。