ネットショップを運営していると、必ずやってくる返品対応の業務。なるべく避けたいですが、どうしても発生してしまいます。
返品となると、顧客は商品やショップに不満を抱えており、もう利用してくれなくなるのではと心配の方もいらっしゃるでしょう。しかし実は、対応に満足してもらえれば、再び利用する人が大半なのです。
本記事ではネットショップの返品対応について、その重要性や効果的な方法などを解説していきます。
ネットショップの返品対応の重要性
冒頭で述べたとおり、返品対応への満足度はリピート購入に大きな影響を与えます。
ECマネジメント会社Narvar社の調査によると、返品対応に満足すれば同じショップで再度購入すると答えた人は、全体の95%にものぼるとのこと。加えて、返品経験のある人のうち82%は、そのショップのリピーターになっています。(*)
ということは、まずは返品のハードルを下げるのが効果的です。消費者は商品の返品について、どんな点に不安を持っているのか、どんなサービスがあえば返品するのか、調査結果をもとに次項で解説します。
*:Narvar/Making Returns a Competitive Advantage
消費者が返品しない理由
出典:株式会社リバリュー/通販での商品購入経験者への返品に関する調査結果
上の画像は、消費者が返品をしない理由をまとめたものです。
1位は「面倒だったから」。事業者としては、こう思わせてしまうだけのハードルが、たしかに存在すると考えた方が良いでしょう。
2位の「返品できないと思っていた・返品を知らなかった」については、返品の条件や方法を分かりやすい場所に記載するのが有効です。
3位の「トラブルに巻き込まれそうだったから」についても、返品ポリシーを明確にして安心感を持ってもらいましょう。
では、具体的にどんなサービスがあると消費者は返品するのか、次項で解説します。
消費者が返品の際に求めるサービス
出典:同上
上図のとおり、返品時の送料が最大のネックになっています。返品にもお金がかかるとなると、発送の手間もあって躊躇う方も多いでしょう。
次に多いのが交換です。商品自体は使いたいというのが分かりますね。
もう一つ重要なのは、「どんなサービスがあっても、返品したいと思わない」と答えたのは、全体のわずか0.4%である点。できるのなら返品したいと顧客は思っているわけです。
そして前述のとおり、返品対応に満足できれば再びショップを利用する人が大半です。ネットショップにとって、返品対応はマーケティングの一部と捉えるべきといえます。
満足してもらえる返品対応の方法
では実際、返品対応に満足してもらうには、どういう方法が有効なのでしょうか。取り組みやすい施策を紹介していきます。
分かりやすく迅速な返品プロセスを整える
1つめは、分かりやすく迅速な返品プロセスを整えること。
返品に限らずですが、対応はスムーズな方が顧客に安心してもらえます。また、リスクなく買い物ができると分かってもらえれば、ショップの信頼性がむしろ上がることさえあり得るのです。
加えて、返品の条件や方法をまとめたページへのリンクは、商品ページやカートなどのうち目立つ場所へ置いておきましょう。上の図にあったように、返品できること自体を知らない消費者も一定数いるからです。
返品対応へのレビューを書いてもらう
2つめは、返品対応へのレビューを書いてもらうこと。
ショップが提供する情報がどれだけ充実していても、消費者は「実際のところはどうなんだろう?」と思うもの。商品だけでなく、顧客対応についても気になるのです。
「返品の対応がとてもよかった!」というレビューがあれば、購入後のトラブルへの心配がなくなります。結果、購入のハードルが低くなるわけですね。
返品をきっかけにファン化を図る
3つめは、返品をきっかけにファン化を図ること。
「対応がしっかりしているから安心だ」と思ってもらえるようにしましょう。返品自体は失客かもしれませんが、それで関係を断ち切るのはもったいないです。
ユーザーと長期にわたって付き合うために、心のこもった丁寧な接し方が重要になります。
そもそもネットショップの返品対応を減らすには?
返品対応のクオリティを上げるとともに、そもそもの返品を減らせないかも検討しましょう。
かといって、返品送料無料のような施策をすぐ導入するのは難しい場合も多いのでは。そこで今回は、比較的取り組みやすい施策を2つ紹介します。
商品ページの内容を充実させる
商品ページの内容を充実させ、イメージと実際のズレを防ぐのは重要です。
サイズ・重さ・色といったスペックはもちろん、実際に使っている様子を写した画像が動画などもあると、顧客は購入後の体験を具体的に想像しやすくなります。よくある質問やレビューを掲載するのも良いですね。
また、多く寄せられる返品理由についても、商品ページの情報に加えましょう。
「思っていたサイズと違う」という理由があるなら、サイズ感を把握しやすい画像を追加・「動作音が大きい」という理由があるなら、音の大きさを数値(デシベル)で表すなどの工夫ができますね。
購入意欲のある方は、多少商品ページが長くとも見て買ってくれます。冗長なのはいけませんが、おせっかいなぐらいで良いでしょう。
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注文の変更をしやすくする
注文の変更をしやすくするもの重要です。
例えばECで服を購入した後、「やっぱりワンサイズ大きい方が良かったかな」「あっちの色の方が良かったかな」と思ったことはありませんか?
その際にすぐ注文内容を変更できれば、顧客は返品後に再購入する必要がなくなります。
事業者の手間も削減できるため、発送フローにもよりますが、注文変更期間を設けてみてはいかがでしょうか。
まとめ
本記事ではネットショップの返品対応について、その重要性や効果的な方法などを解説してきました。
繰り返しますが、対応に満足さえしてもらえれば、失客にはなりにくいです。むしろ信頼性アップにもつながるため、迅速かつ丁寧に接するようにしましょう。
サポートの質は、ECサイトの評判を左右する重要事項です。ぜひ本記事を参考に、充実した体制を整えていってください。