ヨーロッパの越境EC、2021年はどうなる?市場の情報を解説!!

ヨーロッパの越境EC、2021年はどうなる?市場の情報を解説!!

2021年現在、コロナ禍を受けて、巣ごもり消費が世界中で盛んになっています。日本以上に騒動が拡大しているヨーロッパでも同様で、同地域における2020年の越境EC市場規模は20兆円ほど。

日本の商品もよく売れていて、購入先は主に楽天となっています。

今回は、そんなヨーロッパの越境ECについて、データを交えながら各国の事情を解説していきます。

ヨーロッパの越境EC│2020年の市場規模

画像:Ecommerce News Europe/24% of ecommerce in Europe is cross-border

ヨーロッパの越境EC市場規模は、2018年に16兆円だったのが2020年に20兆円となり、2022年には29兆円にまで成長するとみられています。

この地域では各国のインターネット普及率が軒並み90%を超えており、モバイル端末の使用率が高いことも特徴(*1)。この背景もあって、EC利用そのものが生活に根付いています。

また、ヨーロッパのEC市場全体のうち、23.55%が越境ECによるものです(*2)。日本における越境ECの割合は数%ほどであるのを考えると、規模の大きさがよく分かります。

では、それぞれの国についてはどうなのでしょうか。これについて、次項でみていきましょう。

*1:We Are Social/DIGITAL 2020

*2:Ecommerce News europe/24% of ecommerce in Europe is cross-border

ヨーロッパの越境EC│各国の状況

ここからは、特に市場規模の大きいイギリス、ドイツ、フランスを中心に、各国の越境EC事情を解説していきます。

*各国の市場規模はEcommerce News Europeの「24% of ecommerce in Europe is cross-border」から

イギリス

イギリスのEC市場規模は、世界第3位かつヨーロッパ最大を誇り、2019年には21兆円を記録しました。日本の半分ほどの人口ですが、市場規模は日本(世界第4位)より上ということで、EC利用の浸透度が伺えますね。

また、イギリスの越境EC取引額は3兆円。前年から13%成長しており、この成長はまだまだ続くとみられます。

コロナ禍による事情もありますが、イギリスの人々はもともとECをよく利用する傾向にあるからです。Ecommerce News Europeの調査によると、同国の消費者の51%は実店舗よりもオンラインでの買い物を好むとのこと。平均で月6回ECを使うという結果もあります(*)。

このように成長性のある市場ではありますが、課題として物流品質の低さとEU離脱問題が挙げられます。特に、EU離脱後には貿易手続きが複雑化する恐れがあるため、注意が必要です。

*:Ecommerce News Europe/51% UK consumers prefer to shop online rather than in-store

ドイツ

2019年のドイツのEC市場規模は14兆円、越境ECについては2.6兆円でした。イギリスよりも規模こそ小さいものの、越境ECの成長率は前年比24%。ポテンシャルは非常に高いといえるでしょう。

課題としては、物流の品質があります。日本と比べるとどうしても劣り、追跡番号が付加されないといった点は不便です。

参照:JETRO/ドイツの越境EC

フランス

フランスの2019年のEC市場規模は13兆円、越境ECについては2.2兆円でした。また、越境ECの伸び率はドイツよりも高く、前年比29%アップとなっています。

同国の大きな特徴は、クリック&コレクト(ECで注文した商品を実店舗や宅配ボックスで受け取るサービス)やクリック&ドライブ(ECで注文した商品をドライブスルーで受け取るサービス)が普及している点。これにより、アパレル・化粧品・食品などのFMCG(日用消費財)をネットで気軽に買うことができます。

フランスも宅配事情があまり良くないのですが、上記の方法で利便性を高めているというわけですね。

参照1:Ecommerce News Europe/France has Europe’s highest share of FMCG bought online

参照2:JETRO/フランスにおける越境ECに関する調査

その他の国

イギリス、ドイツ、フランスのように、ECや越境ECが広く利用されている国がある一方、スペインやイタリア、東欧諸国などに関してはまだまだこれからといった状況です。

どの国もインターネット普及率は高いものの、物流や言語といった問題があり、実店舗での買い物が圧倒的多数派となっています。

もっとも、コロナ禍によりオンラインショッピングへの移行は避けられないでしょう。ポジティブな要因ではありませんが、EC浸透の機会であることに違いはありません。

参照:Ecommerce News Europe/Why is Southern Europe lagging behind in ecommerce?

ヨーロッパの越境EC│主な購入先

出典:Ecommerce News Europe/Cross-border ecommerce Europe worth €143 billion

上の画像のとおり、ヨーロッパの越境ECではアマゾンが圧倒的なシェアを誇ります。マーケットプレイスで比較的手軽に出品できるのが強みですね。

2位のeBayはオークションサイトですが、業者が定価で販売する仕組みも整っています。3位は中国のアリババで、安価かつ豊富な品揃えが人気。

4位のEtsyはハンドメイド商品を扱うサイトで、アパレルやアクセサリー、アートのほか、食品や骨董品など、さまざまなジャンルのクラフトが出品しています。

5位のDiscogsは音楽のデータベースサイト。アーティストに関する情報を誰でも編集できるほか、音源の販売ページも備わっています。

日本のECサイトでは、楽天が上位に入っていますね。ただ、2020年6月に同社の越境ECサービス「楽天グローバルマーケット」が終了したことによる影響が今後出るかもしれません。

ヨーロッパの越境EC│今後の見通し

2020年1月現在も猛威を振るい続ける新型コロナウイルス。ヨーロッパでも外出がはばかられたり、場合によっては禁止されたりと、人々の生活様式は大きく変わっています。

これによりオンラインショッピングが拡大しており、今後は継続利用を促せるかが事業者にとっての焦点となるでしょう。

もっとも、すべてのジャンルでEC売上が増加しているわけではありません。食品、健康関連商品、建築材料、子供用品などは大きく伸びていますが、アパレルやオフィス用品は大幅に落ち込んでいます(*)。仕事でもプライベートでも家にいる時間が増えた分、需要が変動していることが原因です。

ただ、市場全体がEC化へ動いているのは間違いありません。伸びているジャンルでも落ち込んでいるジャンルでも、マーケティングはもちろん商品そのものの変革に迫られているのです。

*:Ecommerce News Europe/Impact of virus on ecommerce in CEE market

まとめ

今回はヨーロッパの越境ECについて、地域全体と国別に分けて現状を解説してきました。

各国、日本の半分ほどの人口にもかかわらず、EC市場規模は日本と同等かそれ以上となっています。本文でも触れたとおり、今後はさらに拡大していくでしょう。

越境ECといえば、これまでは中国とアメリカにばかり目が行きがちでした。しかし一度、ヨーロッパにも目を向けてみてはいかがでしょうか。

本記事が参考になれば幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です