「利益=売上-費用」
「利益率=利益÷価格×100(%)」
これは、EC運営において必ず押さえておくべき計算式です。利益、つまり最終的にいくら残ったかが分からないと、事業の継続そのものができなくなってしまいます。
売上を伸ばすことはもちろん重要ですし、企業としての見栄えも良さそうに思えますが、その売上のためにムダな費用がかかっていたら儲けは出ません。本当に重要なのは利益というわけです。
本記事ではECサイトの利益率について、割り出し方や費用の構成要素のほか、数字アップのコツなどを解説していきます。
ECサイトの利益と利益率はどうやって割り出す?
冒頭で述べたとおり、ECサイトの利益と利益率は以下のように割り出します。
「利益=売上-費用」
「利益率=利益÷価格×100(%)」
売上から費用を引いて、最終的に残る金額が利益というわけですね。そして、利益率は価格に占める利益の割合です。
ムダな費用がかかっていると、利益を伸ばす効率が悪くなり、どんどん事業が割に合わなくなっていきます。事業を成長させるには、利益を伸ばす必要があるのです。
ただし、売上が役に立たない指標かというと、そうではありません。例えば新規事業では、先行投資によって売上は拡大する一方で利益は伸びないというケースもあるでしょう。
あくまで事業のステージごとに、売上と利益のバランスをとっていくのが大切になります。具体的なバランスの数字は会社ごとに大きく異なるため一概には言えませんが、まずはこの認識を持っておきましょう。
ECサイトの利益を左右する費用の構成要素
では次に、利益に関わる費用の構成要素を見ていきましょう。
原価(仕入れ値)
1つめは原価です。
ECの場合、商品の仕入れ値にあたります。自社商品を販売しているケースでは、製造にかかった材料や設備の値段ですね。このほか、人件費などの諸経費も含まれます。
システム費用
2つめは、ECサイトのシステム費用です。
カート、サーバー、ドメインなどにかかり、価格はサービスによって大きく異なります。
たとえば、クラウド型ASPカートだと月額無料~数万円、パッケージだと月額十~数十万円など。事業規模や将来目標を鑑みて、適切なものを選ぶのが大切です。
在庫管理費用
3つめは在庫管理費用です。
内訳には以下のようなものがあります。
・商品の管理場所の維持費用(家賃)
・ピッキング料
・検品料
・返品処理費用
・同梱作業料
・梱包料
また、冷蔵や冷凍が必要な商品の場合、倉庫の家賃や各作業費が高くなります。
送料
4つめは送料です。
顧客の利便性を考えると、なるべく下げたいところではあります。しかし、それにより利益率が下がるのは考えもの。
目標とする利益から逆算しつつ、配送業者と相談して決めましょう。
マーケティング費用
5つめはマーケティング費用です。
広告運用やSEO対策、LPO対策、EFO対策、SNS運用といった諸施策にかかる費用ですね。全体の金額としては、ECサイト売上の10%前後が一般的といわれています。
販促費
6つめは販促費です。
ポイントやキャンペーンで割引を実施した際の、店舗負担分にあたります。リピーター育成にもかかわる重要な施策ですが、利益の圧迫にもつながりかねないため慎重に検討しましょう。
決済費用
7つめは決済費用です。
クレジットカードや銀行振込、代引き等での決済には手数料が発生します。決済金額の数%、あるいは処理1件ごとの固定費が一般的。
案外大きな費用になりますが、顧客の利便性のためになるべく多くの決済手段を用意しておきたいですね。
外注費
8つめは外注費です。
ECサイトの保守運営、マーケティング、在庫管理などを外注した際に発生します。高額になることもありますが、それ以上に利益が伸びれば問題ありません。やはりバランスが大事というわけですね。
ECサイトの利益率を高めるコツ
ECサイトの利益を上げるにはどうすれば良いのか、すぐ取り組める施策を3つ紹介します。
コストを減らす
まずは、上で述べた8つについてのコスト削減を検討しましょう。ムダな費用がないか、見直しがされていない企業は意外と多いのです。
各商品の在庫の抱え方、広告の最適化、人員の再配置などなど、施策は多種多様です。一度あらためて、自社の業務フローを確認してみてください。
リピーターを増やし広告費削減を行う
リピーターが多くなると、新規獲得のための広告費用を削減できます。もちろんリピート施策に対して費用はかかりますが、前者よりも安く済む場合が多いのです。
効果的な施策としては、例えば以下のようなもの。
・定期的に新商品や目玉商品を出していく
・購入後にサンクスメールを送る
・お得情報を掲載したメルマガやDM発行
・リピーター購入特典
・ポイントアップキャンペーン
ショップに訪れる理由付けをこちらから行い、顧客に定期的に利用してもえる仕組みを整えましょう。
まとめ売りの商品を作る
商品によって利益率は異なりますよね。利益率の高い商品が売れるに越したことはないものの、実際はそうもいきません。
一つの策として、利益率の高い商品と低い商品をセットにしてまとめ売りするというのがあります。「一緒に使うと便利」「使用用途が広がる」など、セット購入にメリットのある商品を扱っていれば、この提案方法を検討してみてください。
まとめ
今回はECサイトの利益率について、計算式や費用の内訳、そして数字アップのコツを解説してきました。
売上が高くても利益は出ていない、いわゆる赤字状態にあるECサイトは少なくありません。ムダな費用があると、運営効率は下がります。自社で見直しができる点はないか、この機会に洗い出してみてはいかがでしょうか。