日本の家電製品は海外で売れない?課題と対策を解説

日本の家電製品は海外で売れない?課題と対策を解説

「メイドインジャパン」といえば、高品質なのに安いとあって世界中で人気でした。しかし昨今、一部の日本製品、特に電化製品の売上は伸び悩んでいます。

品質の高さは依然として評価されているのですが、その先の購買に結びついていないのです。

それはなぜか?本記事では日本の家電製品が抱える課題と対策を解説していきます。

日本の家電製品が海外で売れない?各製品の世界シェア

まずは、本当に日本の家電製品が海外で売れていないのかを確かめてみましょう。各家電の世界シェアを以下に紹介します。

テレビ

1位:サムスン
2位:LG
3位:ソニー
4位:ハイセンス
5位:TCL

サムスンとLGは韓国、ハイセンスとTCLは中国のメーカーです。以前はソニーやシャープ、パナソニックなどの日本企業が上位を占めていましたが、今では他国メーカーに逆転されています。

出典:technabio blog/Largest TV Manufacturers in the World by Market Share 2020

エアコン

1位:ダイキン
2位:珠海格力電器
3位:美的集団
4位:キャリア
5位:ヨーク

エアコンの売上高は、日本のダイキンが1位です。2位の珠海格力電器はグリー・エレクトロニックとも呼ばれる中国の大手家電メーカー。インバーターエアコンの生産でダイキンと協業しています。

3位の美的集団も中国の家電メーカーで、一般にはミデアまたはマイディアと呼ばれます。4位のキャリアはアメリカ、5位のトレインはアイルランドの空調メーカーです。

中国での需要が伸び続けているほか、最近では地球温暖化により、比較的冷涼な気候であるヨーロッパでも普及しています。

出典:Ties/世界へ市場を拡大! 空調・エアコン業界の最先端技術と求められるエンジニアに迫る

洗濯機

1位:ハイアール
2位:ワールプール
3位:美的集団
4位:LG
5位:エレクトロラックス

洗濯機市場では、中国のハイアールが11年連続でトップシェア。ワールプールはアメリカの企業で、業務用の分野でも人気です。3・4位には中国と韓国のメーカーが続き、5位にはスウェーデンの会社がランクインしています。

パナソニックや日立といった日本メーカーは、海外のライバルに水を空けられているのが現状です。

出典:PIECE OF JAPAN/Market share of washing machine

冷蔵庫

1位:ハイアール
2位:ワールプール
3位:エレクトロラックス
4位:LG
5位:サムスン

冷蔵庫も、中韓・欧米の企業にシェアを奪われました。ハイアールは冷凍庫でも世界シェア首位で、白物家電全般で強さを見せています。

出典:PIECE OF JAPAN/Market share of refrigerator

パソコン

1位:レノボ
2位:HP
3位:Dell
4位:Apple
5位:Acer

独自の地位を確立したApple以外は、軒並みリーズナブルなメーカーが上位に並んでいます。一度は聞いたことのあるメーカーも多いのではないでしょうか。

日本国内ではNECや富士通が売れ筋ですが、世界進出には遅れをとっているのが現状です。

出典:statista/Quarterly market share of personal computer (PC) shipments worldwide from 2011 to 2020, by vendor

スマホ

1位:サムスン
2位:ファーウェイ
3位:シャオミ
4位:Apple
5位:Oppo

スマホでは、サムスンが世界シェアトップの座を長年握り続けています。対抗馬であったファーウェイは、アメリカの制裁による影響が気になるところ。

シャオミとOppoは共に中国の会社で、高性能な機種を格安で販売するとあって日本でも人気が高まっています。Appleは言うまでもない一大ブランドですね。

出典:Counterpoint/Global Smartphone Market Share: By Quarter

日本の家電製品が海外で売れない理由

上述のように、日本の家電製品は今、世界では売れていないといえます。次に、その理由を見ていきましょう。

①マーケティングの失敗

1つめはマーケティングの失敗です。要は、消費者第一の商品を開発できなかったということ。

日本製の家電を見て、こんなことを思った経験はありませんか?

「この機能、本当に必要なの?」
「ボタン多すぎ!」

「もっとシンプルで良いから安くしてほしい」

生活には不必要な要素を追加した結果、日本製家電の価格は高騰しました。海外でも「品質は良いけど高い」という感想が少なからずあったのです。

ここに目をつけたのが、主にアジアの新興メーカー。シンプルで安い製品を作り販売した結果、日本メーカーの世界シェアを一気に奪いました。

ライバルとの差別化を図るあまり、消費者ファーストではなく技術力ファーストの製品を作り続けたのが、日本企業の敗因です。

②技術の流出

2つめは技術の流出です。

世界での競争に追いつけなかった結果、日本メーカーの業績は悪化しました。すると、部門整理や賃金悪化により人材流出が起き、海外のライバル企業へ技術者が流れてしまったのです。

これでは新しい開発もできません。マーケティングで負けただけでなく、技術でも負けるのは必至です。

技術流出については立て直しも難しく、日本企業はどんどんジリ貧になっていきました。

日本の家電製品の質自体は評価されている

ここまで日本の家電製品が抱える現状と問題点を述べてきました。

しかし、勘違いしてはならないのが「日本の家電製品の質自体は評価されている」ということ。不良品の確率は極めて低く、耐久性に優れ、必要な機能は揃っているのは確かなのです。

ただ、プロダクトアウトではなくマーケットインの考え方を持つことが重要です。国によって異なるニーズを捉え、製品をローカライズしていくのも必要になるでしょう。その上で、品質と価格をどのラインで妥協するかの判断が求められます。

技術そのものは依然として高水準ですので、今後は真に消費者を向いたマーケティングと開発が求められるのです。

まとめ

今回は、日本の家電製品が海外で売れていないという点について、その現状や理由などを解説してきました。

上述のとおり世界シェアでは厳しい状況にありますが、このまま没落していくわけにもいきません。発想の転換と巻き返しに期待がかかります。

EC事業者にとっても他人事ではなく、「売れる商品」を考える際に、一連の話は参考になるのではないでしょうか。

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